突然「会社の業績が悪いから解雇する」と言われました。

質問例

突然「会社の業績が悪いから解雇する」と言われました。確かに、この2〜3年は勤務先の業績は悪いと聞いているのですが、解雇を受け入れるしかないのでしょうか。

回答

まず会社は、法的には、余程のことがない限り従業員を解雇することができません。会社が従業員を解雇するには、「客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当と認められる」ことが必要です(労働契約法16条)。法律の文言が相当にあいまいなので一見しただけではわかりにくいのですが、裁判実務では、この基準は相当に高いものとされています。つまり解雇は余程の理由がないとできないのです。そこで、業績が悪い場合でも簡単には従業員を解雇できないことになります。

業績が悪いことを理由に従業員を解雇することを「整理解雇」といいますが、裁判例で整理解雇が認められるには以下のよう要素を総合考慮することが実務で定着しています。
以下の4つの要素です。

1 解雇の必要性があること(業績が悪化していることなど)

2 解雇を回避するための努力をしたこと
(解雇以外の他の手段を充分に試みたか)

3 人選が合理的であること(解雇対象者を恣意的に選んでいない)

4 手続が相当であること(労働組合等に協議と説明をしたか)

仮に、要素の1について、本当に業績が悪化していたとしても、他の3要素を満たしていなければ、整理解雇が認められない可能性があります。例えば、2の解雇回避努力とは、従業員の配置転換や給与賞与の削減、新規採用の停止、希望退職の募集など、整理解雇という手段に至る前に、相応の解雇回避努力をしたかということですが、それを満たしていない場合は、解雇が認められない可能性もあるのです。例えば、新規採用を継続していたり、役員他の幹部が高額の報酬を継続的に得ている場合などは、2の解雇回避努力が認められにくい方向に働くでしょう。

したがって、「会社の業績が悪いから解雇する」と言われた場合でも、受け入れる前に、上記整理解雇の4要素をどれだけ満たしているかしっかりと確認したほうが良いでしょう。 

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